教授挨拶

多くが集い力を合わせて明るく楽しく 〜 It will all come together! 〜

「確かな総合医力と専門性で奏でるハーモニー」

 琉球大学小児科のホームページをご覧いただきまして、ありがとうございます。

 当科では高度先進医療と「ランドグラント大学」のもつ「地域に根差し、地域のために」という精神を受け継ぐ伝統的地域医療の融合により、人間性豊かな小児医療を目指しています。また、県内で医療を完結するために高い医療水準が求められ、個々の小児科医の確かな臨床能力の養成に力点を置いて日々の診療を実践しています。

 小児科学会は、「小児科医は子どもたちの総合医です」と謳っています。小児科医は、心を含め全身を診る総合医的能力が求められ、当科では全員がそれを心がけ診療に従事しています。子どもと大人の違いは発達の有無です。身体はもちろんのこと、精神的にも社会的にも発達に配慮して、丁寧に対応しています。そのような姿勢で日々の診療に臨むことにより、良い小児科医が育つと考えています。

 一方、小児科の特徴は多くの専門分野を担当することです。当科にも多くの専門分野があり、それぞれの分野に配慮してきめ細やかな診療をしています。総合医的確かな基礎の上にそれぞれの専門性を極め、広く浅くにならないように日々精進しています。当科では常に患者さんやご家族の立場から考えた最善の「根拠に基づく医療」を目指し、そのためのトレーニングが可能です。

 琉大小児科の特徴の一つは「多様性」にあります。専門分野・業務内容や勤務様式はもちろんのこと、個人の価値観やライフイベントにも配慮し、幸福の最大公約数を模索しています。医局はオーケストラに似ているような気がします。全ての演奏家が音楽をよく理解した上で、個々の楽器を奏でる。一つの曲を作りあげるのに、それぞれが重要です。「多様性」を受け入れる包容力の増大を目指し、その「多様性」に裏打ちされた「無限の可能性」を背景に、伸び伸びと自分の力を発揮して、成りたい医師像を実現する場となることを目指しています。そのための選択肢の多さが琉球大学小児科の特徴です。

 大学の使命として研究は重要です。ただし、臨床講座において研究は単独に成り立つものではなく、教育・診療・研究が三位一体であるということを肝に銘じ、全ての基本は「人」にあり教育に力を入れることが原点だと考えています。常にリサーチマインドを持って診療にあたり、そこから生じた問題や疑問を解決する研究を実践できる人を育てています。

 地方の大学小児科は忙しいことは想像に難くないのですが、当教室も例外ではありません。けれど、「ゆい」の精神こそが私達のモットーです。どのような状況であっても、人を大切にして一人でも多くの人が集い、みんなで力を合わせていきたいと思います。「忙しくても明るく楽しく」、「ゆっくりだけど確実に」、そのような職場です。

 陸から海へと広がる亜熱帯の豊かな自然環境を身近に感じながら、充実した日々を一緒に過ごしませんか。多くの人々が琉大小児科に集い、活躍されることを期待しています。

琉球大学大学院医学研究科育成医学(小児科) 中西浩一